理事長あいさつ


一般社団法人日本潰瘍学会
理事長 竹内 孝治


  前理事長が一身上の都合により昨年10月末に辞任された後、私が理事長代行を務めて参りましたが、平成25年12月に開催された第41回日本潰瘍学会の理事会において正式に理事長として選出されましたことを皆様にご報告申し上げます。
  日本潰瘍学会は、実験潰瘍モデルを通して消化性潰瘍の病態解明、及び治療予防法の開発を目的として1973年に「実験潰瘍懇話会」として創設されましたが、時代の要請もあり、1991年には学会へと発展し、2005年から現在の名称に変更されました。本学会で扱う研究対象も潰瘍研究の歴史的変遷に伴い変化し、潰瘍性病変だけでなく、消化管領域を中心にした炎症、発がん、免疫異常、機能障害などの様々な病態解明にまで拡大してきましたが、“潰瘍学を極める“という点では一貫性を維持しています。勿論、次代の消化器研究者の育成も本学会の重要な目的の一つであります。これらの目的は、過去40年間における本学会の活動により、十分に果たせてきたものと思われます。
  日本潰瘍学会の最大の特徴は、臨床と基礎の壁を乗り越えて「潰瘍学」を研究するという基本的理念に貫かれている点であります。我が国には、消化管領域を対象とした学会は数多く存在しますが、潰瘍研究に関する多分野の研究者が一堂に会する学会は、本学会の他に見受けられません。臨床は医師からの発表がほとんどを占めますが、基礎の発表は薬理、病理、および創薬など多岐に亘り、医学、薬学、農学、および企業の研究者も多く参加されています。
  平成25年度の理事会および評議員会において新たな「定款」が提案・承認され、日本潰瘍学会は、本会の仕組みを根本から見直し、新たな一歩を踏み出すことになりました。折しも、第41回日本潰瘍学会(会長:大阪医科大学、樋口和秀教授)では、“原点からの更なる飛躍”をテーマに開催され、本学会の前身である「実験潰瘍懇話会」の時代まで遡って潰瘍研究のルーツを辿り、潰瘍研究の歴史を再確認しながら最新の研究知見を討議し、今後の研究のさらなる飛躍を目指すものでした。
  日本潰瘍学会は、現在、過渡期にありますが、基礎と臨床がお互いの垣根を越えて“潰瘍学を極める”という学会の根本的な姿勢には変わりがありません。今後とも、基礎・臨床、医師、メーカーを問わず潰瘍についての知識を集め、潰瘍医学の発展・進歩に貢献することを願っています。理事長として、新定款に沿って2年後に選出される次期理事長に良い方向で橋渡し出来る様に務めますので、ご支援、ご協力をお願い致します。

平成25年12月吉日